無印良品の年末のお楽しみ『福缶』
買いたくても、抽選販売なのでなかなか手に入らないですよね。
そんな『福缶』に採用されている芝原人形(しばらにんぎょう)の展示会が長南町で開催されました。
開催初日は春の嵐
春の嵐、大雨と突風吹くなか、長生郡長南町で行われる芝原人形『第41回 春の人形展』に行ってきました。
朝から横殴りの雨が降る中、到着するころには雨も上がるだろうと思っていましたが、一向に降りやむ様子もなく、道路脇の田んぼは水嵩も増し、だいぶ水位が上がってきていました。
『春の人形展』会場となる第四代芝原人形窯元 千葉惣次先生の工房は野見金公園のとなり、曲がりくねった山道を進んだ先にあるので、強風で太い木の枝が落ちていたり、道路脇の崖が少し崩れていたりと、今回はスリル満点でした。
途中に「不動の滝」と書かれた湧水がでている場所がありました。
おそるおそる車を進め、なんとか工房に到着です。
工房へ向かう階段は雨で緑がしっとりと濡れ、南天の実の赤が鮮やかです
会期と会場
版画で作られた素敵なダイレクトメールをいただきました。
会期:3月29日(金)~4月7日(日)
時間:AM11:00~PM4:00
会場:四代目芝原人形窯元 千葉惣次工房 草の子窯
住所:千葉県長生郡長南町岩撫44
JR外房線 茂原駅下車 小湊バス(0475-46-3581)長南三又下車タクシー10分
圏央道長南インターより10分
TEL:0475-46-0850(朝・夜のみ)携帯:090-3592-8837
素朴で温かな土人形 上総 芝原(しばら)人形
郷土人形は江戸時代の初期、京都の伏見稲荷神社周辺で始まったそうです。その門流は江戸初期から明治初期に至る約二百八十年間、北は青森から南は沖縄まで全国各地に広まって定着して来ました。
芝原(しばら)人形もまたその中のひとつです。
芝原人形は、粘土板を抜き型にいれ、取り出して乾燥、ニ昼夜かけて八百五十度で素焼きをし、胡粉をかけ群青や朱などの泥絵の具で色彩して作るそうです。振るとカラカラと音がすることから石ころ雛と言われ長生地方のひな祭りに飾られるようになった素朴で温かな土人形です。
『春の人形展』会期初日の様子
今回は『春の人形展』初日に伺うことができたので、とっても楽しみです。
工房入り口には立春大吉の文字
たくさんのお札と、奥様の作品、和紙のモチーフ(オカザリ)が飾られていました。
和紙のタペストリー 伝承切り紙『切り透かし』
年末に伺った時は、2023年の干支『卯』2024年の干支『辰』をモチーフにした和紙のタペストリーが飾られていましたが(ゆく年くる年を表現した『切り透かし』)今回は縁起物の『招き猫』や『鯛』『おかめさん』のモチーフに変わっていました。
名称がわからなかったので、和紙のタペストリーと書きましたが、東北地方に伝わる伝承切り紙『オカザリ』と呼ばれるものでした。平面的なものは『切り透かし』と呼ぶそうです。
初めて訪れた時も感じましたが、照明をしぼった工房の中は、静かな蔵の中で大切な宝物を見せていただいているようなそんな気持ちになります。
およそ三百種類ある芝原人形、三月の雛人形として内裏雛(だいりびな)裃雛(かみしもびな)明治風俗、動物、5月の節句人形として加藤清正、義経などの武者、金太郎、桃太郎、縁起物として福助、七福神、天神、招き猫、干支
ぽんぽこ狸や三猿、ぶんぶく茶釜など、大きいものから小さいものまで、ほんとうに皆どれもかわいらしい
壁には「芝原人形の歴史」が飾られています。
千葉惣次先生が全国各地から集め壁一面に飾られた『古民具の黒』と奥様の作品、和紙で作られたオカザリの『白』
そして小さな色とりどりの明かりがぽつぽつと灯るような芝原人形の鮮やかな色
作品を見せていただくのは今回で2度目ですが、本当に素朴で温かくて、ぐうの音もでないほど素敵でした。
ひとつひとつが手作りで、形も色彩もそれぞれちょっとづつ違うので、自分だけのお気に入りをさがせます。
工房を訪れたら何かひとつ買い求めようと決めており、今回も迷いに迷い、金太郎をモチーフにした『熊金』を選びました。金太郎が黒い熊とお相撲を取っているかわいいお人形です。
金太郎シリーズは鯉を抱いていたり、桃に乗っていたり、熊に乗っていたりと見ているだけでも楽しいです。
『春の人形展』にて購入した「熊金」
庭先に咲いている水仙と一緒に
くろねこの様な黒熊と赤いパンツをはいた金太郎です。
東北地方に伝わる伝承切り紙 神を宿し神を招く『オカザリ』
奥様の作品は東北地方に伝わる伝承切り紙『オカザリ』と呼ばれるものでした。
かつては日本各地に祭祀や神社を飾る紙飾りの文化があり、中でも東北地方では正月飾りとして複雑な意匠を立体的に切り込んだ豪華な紙飾りが盛んに作られたそうです。
オカザリとは主にお正月の飾りとして神社で氏子たちに授与される切り紙で、平面的なものは『切り透かし』立体的なものは『御幣』や『網飾り』と呼ばれるそうです。
千葉惣次先生が書かれた著書『東北の伝承切り紙 神を宿し神を招く』があるそうなので、一度じっくりと読んでみたいと思いました。
桃を手に持ったお猿のなんとかわいらしいこと
『オカザリに神を宿し神を招く』願いや祈りが込められていること
『オカザリに神を宿し神を招く』願いや祈りが込められている事。
お正月を迎える前、祓い串についた悪いものを外に出す『晦日祓い』
神棚に榊を飾り、お水を供え、敷地の中にある氏神様をお祀りし、お正月を迎える前には、お供えする御餅を用意し家中の神様にお供えし、大みそかには『晦日祓い(みそかばらい)』を行う
東北地方の「オカザリ」を知り、そういえばわたしの家でもやっていたなと思い出しました。
『晦日払い』とは、神棚にお供えした祓え串で家中をお祓いし、お祓いを終えた後の祓え串を家の外の鬼門の方向南東の土に立て「鬼門除け」を行うことを言います。
昔は生活の中にあたりまえにあった事。今では「知らないし、そんなことしないよ」と言う方も多いかもしれませんね
八百万の神(やおよろずのかみ)への感謝、自然界のすべての物に神様がいることを忘れてはいけないと改めて思いました。
『春の人形展』は4月7日(日)まで開催されています。お時間ありましたら足を運んでみてください。ほっこりするかわいさですよ。
季節ごとにちょっとしたお人形を飾りたくなります。こちらは張り子の5月人形かわいい。
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